top of page

【膝の痛み】お皿の裏がズキッ?「膝蓋大腿関節症」の仕組みと、鍼灸という選択肢

  • クゴリハ鍼灸院
  • 4月16日
  • 読了時間: 4分

「階段の昇り降りがつらい」「椅子から立ち上がる時に膝がパキパキ鳴って痛む」 その痛み、もしかしたら「膝蓋大腿関節症(しつがいたいだいかんせつしょう)」かもしれません。

一般的な「膝の軟骨のすり減り(変形性膝関節症)」は膝の内側が痛むことが多いですが、この病気は「膝のお皿(膝蓋骨)」の周辺や裏側に痛みが出るのが特徴です。

今回は、この痛みのメカニズムと、病院での治療、そしてなぜ鍼灸治療が効果的なのかを、医学的な視点から分かりやすく解説します。


1. 膝のお皿の裏で何が起きている?(病態とメカニズム)

膝の関節は、太ももの骨(大腿骨)、すねの骨(脛骨)、そしてお皿(膝蓋骨)の3つの骨で構成されています。このうち、お皿と太ももの骨の間の関節を「膝蓋大腿関節(しつがいたいだいかんせつ)」と呼びます。



お皿は、太ももの筋肉(大腿四頭筋)の力をすねに伝える「滑車」の役割をしており、膝を曲げ伸ばしするたびに、大腿骨の溝の中を上下にスライドします。


痛みの原因:軟骨の「偏摩耗」と「炎症」

正常な関節では、骨の表面はスムーズな軟骨で覆われ、クッションのように衝撃を吸収しています。しかし、膝蓋大腿関節症では、以下のプロセスで痛みが生じます(上図参照)。


  1. アライメント(配列)の乱れ: 筋力低下や骨格の特性により、お皿が正しい溝から外側へズレたり、特定の場所に強く押し付けられたりします。

  2. 軟骨の摩耗: 局所に過度な摩擦(ストレス)が集中し、膝蓋骨の裏側の軟骨が徐々に毛羽立ち、削れていきます。

  3. 滑膜炎(かつまくえん)の発生: 削れた軟骨の破片が関節包の負担となり、内側の膜(滑膜)を刺激します。これが「炎症」であり、強い痛みの正体です。進行すると「膝に水が溜まる」こともあります。

  4. 骨の変形: さらに進行すると、軟骨の下の骨同士が直接ぶつかり合い、骨がトゲのように突出する「骨棘(こつきょく)」が形成され、動きが悪くなります。


2. 病院での一般的な治療法(保存療法)

手術に至るケースは少なく、まずは「保存療法(手術しない治療)」が基本です。

  • 安静と活動修整: 痛みが強い時は無理をせず、階段の多用や深くしゃがむ動作を避けます。

  • 薬物療法: 消炎鎮痛剤(内服薬や湿布)で炎症を鎮め、痛みをコントロールします。

  • 物理療法: 電気や温熱で血流を良くし、組織の修復を促します。

  • 運動療法(根本治療): 最も重要です。特にお皿を内側に引き寄せる**「内側広筋(だいたいしとうきんの一部)」**を鍛え、お皿の軌道を安定させます。同時に、硬くなった太ももの外側の筋肉(腸脛靭帯など)をストレッチします。


3. 「鍼灸治療」が選ばれる理由とその強み

多くの患者様が、整形外科での治療と並行して、あるいは薬に頼りたくないという理由で、鍼灸治療を選択されています。なぜ鍼灸が膝蓋大腿関節症に効果的なのか、医学的な根拠(強み)に基づき説明します。


強み1:炎症部位へのダイレクトなアクセス

マッサージや整体では、お皿の裏側や、関節の奥深くにある滑膜(炎症部位)に直接触れることはできません。鍼治療では、極めて細い鍼を用いて、お皿の周囲の窪み(内膝眼・外膝眼など)から、炎症が起きている滑膜の近くへ直接アプローチできます。これにより、炎症組織の血流を劇的に改善し、痛みの物質(ブラジキニンなど)の排出を促進します。


強み2:筋緊張の「リセット」による圧迫軽減

お皿を正しい位置に保つためには、筋肉のバランスが不可欠です。しかし、この疾患の多くは、太ももの外側の筋肉が硬くなり、お皿を外側へ引っ張っています。

鍼刺激は、過緊張状態にある特定の筋肉(外側広筋や腸脛靭帯)をピンポイントで緩め、お皿にかかる側方への牽引力を「リセット」することに長けています。結果として、お皿の裏にかかる圧迫力が減り、痛みが軽減します。


強み3:自己治癒力の向上と鎮痛効果

鍼刺激は、身体が本来持つ「自己治癒力」を活性化させます。脳内麻薬と呼ばれる鎮痛物質(エンドルフィンなど)の分泌を促したり、自律神経を整えて痛みの閾値(痛みを感じるレベル)を下げたりする効果が、科学的に証明されています。



まとめ:総合的なケアがスムーズな回復への道

膝蓋大腿関節症は、一度軟骨が大きくすり減ると元に戻すのは困難です。しかし、早期に適切なケアを行えば、痛みを取り、日常生活を快適に送ることは十分に可能です。

大切なのは、以下の「総合力」です。

  1. 整形外科での正確な診断(軟骨や骨の状態を確認)

  2. 運動療法(筋力バランスの修正)

  3. 鍼灸治療(炎症の鎮静、深い部位の除痛、筋緊張のリセット)

「老化だから仕方がない」と諦める前に、これらの選択肢を組み合わせて、ご自身の膝に最適なケアを見つけてください。お近くの医療機関や鍼灸院に、ぜひ相談してみることをお勧めします。

 
 
 

コメント


© 合同会社クゴリハ
bottom of page