top of page

取れない痛みで悩んでいませんか?アキレス腱炎の病態と標準治療、そして鍼灸によるアプローチ

  • クゴリハ鍼灸院
  • 7月25日
  • 読了時間: 4分

アキレス腱の痛みは、ランナーをはじめスポーツを楽しむ方だけでなく、日常の立ち仕事や歩行でも生じやすいトラブルです。「朝起きて第一歩を踏み出したときにアキレス腱周辺がピキッと痛む」「走ると踵の上あたりが痛む」といった症状に悩まされていませんか?


アキレス腱炎(腱変性症)は、早期に適切な対応を行わないと慢性化しやすい疾患です。西洋医学における病態把握と標準治療、そして鍼灸治療による統合的なアプローチについて、一般の方にも分かりやすく、専門的知見も交えて解説します。


1. 西洋医学的アプローチ:病態と標準的治療法

解剖と病態メカニズム

アキレス腱は、ふくらはぎの下腿三頭筋(腓腹筋・平目筋)と踵の骨(踵骨)をつなぐ体内で最も太く強い腱です。歩行やジャンプの際、体重の数倍もの衝撃を吸収・伝達する役割を担っています。

近年では単なる「炎症(Tendinitis)」というより、繰り返しの負荷(オーバーユース)によって腱組織が微細損傷を受け、修復が追いつかずに組織が変性・脆弱化する「アキレス腱障害(Achilles Tendinopathy)」として捉えられています。

発生部位により大きく2つに分類されます:

  • 非付着部(実質部)障害:踵骨付着部から2〜6cm上方の領域。この部位は元々血管密度が低い「低血流領域(Hypovascular zone)」であるため、負荷が蓄積しやすく組織修復が遅れがちになります。

  • 付着部障害:踵骨への付着部自体に生じる障害。骨棘(こっきょく)の形成や滑液包炎(滑膜の炎症)を伴うことが多く、治癒に時間を要する傾向があります。



2. 鍼灸治療的アプローチ:生理学的アプローチと東洋医学

鍼灸治療は、西洋医学的アプローチと非常に相性が良く、相乗効果を期待できる施術です。

生理学的メカニズム(現代医学的視点)

鍼灸がアキレス腱障害に作用する仕組みには、以下の生理的反応が関与しています:

  1. 下腿三頭筋の緊張緩和(筋膜リリース効果) アキレス腱への牽引ストレスの根本原因である「腓腹筋・ヒラメ筋の過緊張」に対し、鍼通電(パルス)や直接刺激を行うことで筋緊張を緩め、腱への張力を軽減します。

  2. 局所の血流改善と組織修復の促進 腱の低血流領域に刺鍼すると、神経軸反射(Axon reflex)によりCGRP(降圧ペプチド)やP物質などの血管拡張物質が放出されます。これにより局所の微小循環が飛躍的に改善し、修復に必要な酸素と栄養の供給が促進されます。

  3. 痛みの制御(ゲートコントロール説・エンドルフィン分泌) 痛みの伝達を脊髄レベルで遮断する「ゲートコントロール機構」の作動や、脳内内因性オピオイドの分泌を促すことで痛みを軽減します。

東洋医学的アプローチ(経絡とツボ)

東洋医学では、アキレス腱走行部を「足の太陽膀胱経」および「足の少陰腎経」が通過すると捉えます。「筋肉や腱の柔軟性は『肝』が主どり、骨や腱の強さは『腎』が主どる」という考えに基づき、局所と全身の両面からアプローチします。

代表的な使用穴(ツボ)太渓(たいけい):内くるぶしとアキレス腱の間の凹み(腎経の原穴)。局所の血流促進および自律神経・ホルモンバランスの調整に優れます。
崑崙(こんろん):外くるぶしとアキレス腱の間の凹み(膀胱経)。アキレス腱外側の痛みや緊張を緩和します。
承山(しょうざん):ふくらはぎの肉離れを起こしやすい中央部。下腿三頭筋の緊張を緩和する要穴です。
阿是穴(あぜけつ):解剖学的な圧痛点(トリガーポイント)への直接施術。

3. まとめ:西洋医学×鍼灸の統合的メリット

アキレス腱障害の克服には、「西洋医学的な適切な診断・運動療法」「鍼灸による筋緊張緩和・局所血流改善」を掛け合わせることが最も効率的です。

  • 初期〜慢性期:まずは整形外科で骨・腱の形態的変化(断裂の有無や変性度合)を画像診断(超音波・MRI)で確認することが重要です。

  • 併用効果:運動療法(エキセントリック運動)を実施する際、下腿三頭筋が過度に硬いとトレーニング自体が痛みを誘発してしまいます。事前に鍼灸施術で筋肉・腱のコンディショニングを行うことで、リハビリのスクワットやストレッチがスムーズに行えるようになります。

焦らず段階を追ってコンディショニングを行い、しなやかで強いアキレス腱を取り戻していきましょう。

 
 
 

コメント


© 合同会社クゴリハ
bottom of page