認知症に対する鍼灸療法
- クゴリハ鍼灸院
- 4 日前
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認知症に対する鍼灸療法については、近年、世界的に多くの臨床研究やメタ解析が行われており、2024年から2025年にかけて発表された最新のエビデンスによって、その有効性とメカニズムがより明確になってきています。
結論から申し上げますと、**「薬物療法(ドネペジルなど)との併用による相乗効果」および「海馬の構造的変化(可塑性)の誘導」**において、特に注目すべき成果が報告されています。
1. 認知機能改善に関する最新エビデンス(2024-2025年)
最新のメタ解析や臨床試験では、以下の点が示されています。
ドネペジルとの併用効果: 2025年に発表された系統的レビューでは、アルツハイマー型認知症(AD)患者に対し、標準的な薬物療法に鍼灸を併用することで、認知機能指標(MMSEやADAS-cog)が有意に改善することが示されました。単独療法よりも高い改善率(相対リスク1.35倍)が報告されています。
血管性認知障害(VCI)への効果: 脳血流の改善と灌流(かんりゅう)の向上により、認知機能だけでなく、日常生活動作(ADL)の改善にも寄与することが確認されています。
睡眠障害と周辺症状(BPSD): 認知症に伴う睡眠障害に対し、鍼灸が睡眠の質を向上させるとともに、周辺症状(焦燥感、抑うつなど)を緩和させるエビデンスも蓄積されています。
2. 脳内で起きているメカニズムの解明
最新の画像診断(MRIなど)を用いた研究により、鍼灸が脳に与える具体的な影響が判明しつつあります。
海馬の可塑性(かそせい)の誘導: 2025年8月の研究(Brain and Behavior誌)では、健忘型軽度認知障害(aMCI)患者に対し、8週間の鍼治療を行った結果、**「右海馬の体積増加」**とそれに伴う記憶再生能力の向上が確認されました。これは鍼が脳の構造を物理的に変化させる可能性を示す重要な発見です。
アミロイドβ(Aβ)への影響: 動物モデルおよび一部の臨床研究において、鍼治療が栄養状態(ApoA1値など)を改善し、Aβの神経毒性を抑制、あるいは蓄積を減少させる可能性が示唆されています。
神経振動(脳波)の調節: 特定の電気鍼(三針電気鍼療法など)が、海馬のガンマ波やシータ波を調節し、神経回路の興奮・抑制バランスを整えることで認知機能を底上げするメカニズムが注目されています。
3. 主要な治療ポイント(経穴)
研究で頻用され、効果が認められている主なツボ(経穴)は以下の通りです。
分類 | 主なツボ(経穴) | 期待される役割 |
頭部 | 百会(GV20)、四神聡(EX-HN1)、神庭(GV24) | 脳血流の改善、認知機能の中枢的調整 |
手足 | 神門(HT7)、太谿(KI6)、足三里(ST36) | 精神の安定(安眠)、全身の栄養・代謝状態の改善 |
頸部 | 翳風(TE17)、完骨(GB12) | 脳への血流促進、自律神経の調節 |
4. 安全性と今後の展望
鍼灸は低侵襲(体に負担が少ない)であり、薬物療法の副作用(消化器症状など)を補完する治療法として非常に有望視されています。2025年現在、より大規模な臨床試験が進行中であり、今後は「どのタイミングで、どのツボを刺激するのが最も効率的か」という個別化されたプロトコルの確立が期待されています。
注意点: 鍼灸はあくまで補完療法であり、標準的な医療(医師による診断や処方)に代わるものではありません。治療を検討される際は、専門の医師や鍼灸師に相談することをお勧めします。
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