非回転性の幻暈に対する鍼灸
- クゴリハ鍼灸院
- 2025年12月17日
- 読了時間: 5分

非回転性めまい(フワフワする、浮遊感、体が揺れるような感覚)は、東洋医学では主に**「眩暈(げんうん)」**というカテゴリーで扱われます。
西洋医学的には自律神経の乱れ、首肩のこり(頸性めまい)、更年期障害、ストレスなどが原因となることが多いですが、鍼灸治療はこれらの調整を得意としています。
東洋医学的な視点(タイプ別)
鍼灸では、なぜ「フワフワ」しているのか、その原因を体質から見極めます。
タイプ | 主な症状 | 治療方針 |
肝陽上亢(かんようじょうこう) | ストレス、イライラ、のぼせを伴う | 高ぶった気を静め、頭の熱を取る |
痰湿中阻(たんしつちゅうそ) | 体が重い、吐き気、胃腸が弱い | 水分代謝を良くし、「湿気」を取り除く |
気血両虚(きけつりょうきょ) | 疲れやすい、顔色が白い、立ちくらみ | エネルギーと血を補い、循環を高める |
腎精不足(じんせいふそく) | 耳鳴り、腰痛、加齢によるもの | 生殖・成長を司る「腎」の力を補う |
鍼灸治療の主なアプローチ
1. 自律神経の調整
非回転性めまいの多くは、交感神経が優位になりすぎています。手足のツボ(太衝や内関など)を刺激することで、リラックスを司る副交感神経を優位にし、全身の緊張を解きます。
2. 首・肩周りの血流改善(頸性めまい)
首の筋肉(胸鎖乳突筋や斜角筋)が硬くなると、脳への血流や平衡感覚を司る神経に影響が出ます。
天柱(てんちゅう)・風池(ふうち):首の付け根にあるツボで、頭部の血流を改善します。
3. 内耳・平衡感覚へのアプローチ
耳の周りにあるツボを刺激し、三半規管や前庭神経の機能を整えます。
翳風(えいふう):耳たぶの後ろにあるくぼみ。めまいの特効穴として知られます。
注意点とアドバイス
即効性と持続性: 軽いものなら数回でスッキリしますが、自律神経が絡む場合は、週1回程度のペースで数ヶ月継続することで体質から安定させていくのが一般的です。
病院受診が優先されるケース: 激しい頭痛、ろれつが回らない、手足のしびれ、急激な聴力低下を伴う場合は、まず脳神経外科や耳鼻咽喉科を受診してください。
つづいて、鍼灸治療における非回転性めまい(浮動性めまい)のエビデンスについて、現代医学的な研究データとメカニズムの観点から解説します。
結論から言うと、めまいに対する鍼灸は**「QOL(生活の質)の向上」や「自律神経系の安定」において一定の科学的根拠**が認められていますが、疾患の種類によってエビデンスの強さが異なります。
1. 臨床研究によるエビデンス
多くのメタ分析(複数の研究を統合した信頼性の高い解析)や臨床試験で、以下のような結果が報告されています。
頸性めまい(首由来のめまい)への有効性
多くの研究で、鍼灸は首周りの筋肉(胸鎖乳突筋や板状筋)の緊張を緩和し、椎骨動脈の血流を改善することで、めまいの頻度と強度を優位に下げることが示されています。
椎骨脳底動脈不全症(VBI)
中国を中心とした大規模な研究では、薬物療法単独よりも、鍼灸を併用した群の方が、脳血流速度の改善率が高いというデータが複数存在します。
心因性・自律神経性めまい
「PPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)」など、検査で異常がないもののフワフワ感が続く症状に対し、鍼灸が不安感の軽減とめまい感の閾値を下げる(感じにくくする)効果があることが、臨床現場での評価として積み上がっています。
2. 作用メカニズムの科学的解釈
なぜ鍼が非回転性めまいに効くのか、以下の3つのメカニズムが考えられています。
① 血流改善効果
鍼刺激により、軸索反射(神経を介した反射)が起こり、血管を拡張させる物質(CGRPなど)が放出されます。これにより、内耳や脳幹、小脳への血流が増加し、平衡感覚の機能低下を補うと考えられています。
② 自律神経の調整
鍼刺激は、脳の視床下部に働きかけ、交感神経の過緊張を抑制します。非回転性めまいの多くは、ストレスによる自律神経の乱れが関与しているため、副交感神経を優位にすることで全身の浮遊感を軽減させます。
③ 体性感覚の入力補正
フワフワする感覚は、視覚・内耳・深部感覚(筋肉や関節のセンサー)の情報が脳内で一致しないことで起こります。首や肩の筋肉へ鍼をすることで、**脳への感覚入力を正常化(リセット)**し、感覚のズレを修正する効果が期待されています。
3. 国際的な評価(WHO・コクランなど)
WHO(世界保健機関): かつて発表された適応症リストにおいて、めまい(Vertigo)は鍼灸の適応として挙げられていました。
コクラン共同計画(信頼性の高いレビュー機関): メニエール病など特定の疾患については「さらなる質の高い研究が必要」と慎重な姿勢を見せつつも、多くの臨床現場で補助療法としての有効性が支持されています。
4. 治療の選択基準(まとめ)
エビデンスに基づいた場合、以下のような方に鍼灸は特に推奨されます。
状況 | 鍼灸の推奨度 | 理由 |
検査で異常なし(PPPD等) | 高い | 自律神経や中枢性の感作を抑えるため |
首や肩のコリが強い | 非常に高い | 頸性めまいに対する血流改善効果が顕著 |
更年期やストレスが原因 | 高い | ホルモンバランスと自律神経の調整に優れる |
脳血管障害の急性期 | 低い | まずは高度な医療機関での処置が必須 |
以上
クゴリハ鍼灸院では理学療法士と鍼灸師の資格を持った施術者が伺います。
鍼灸治療だけでなく運動療法の提案も可能です。
ご相談の際はお問合せからお願いします。
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