変形性膝関節症に対する鍼灸治療について
- クゴリハ鍼灸院
- 10月22日
- 読了時間: 3分

変形性膝関節症(Osteoarthritis, OA)に対する鍼灸療法の有効性については、疼痛緩和や関節機能の改善に関して、特に海外のランダム化比較試験(RCT)やメタ分析によって一定のエビデンスが示されています。ただし、その有効性には懐疑的な見解も存在し、さらなる質の高い研究が必要とされています。
鍼灸療法の有効性に関する主な考察
1. 疼痛緩和効果
海外の大規模臨床試験: ドイツやアメリカなどで実施された大規模なRCTでは、鍼治療が変形性膝関節症の疼痛を有意に軽減することが示されています。例えば、真の鍼治療群が最小鍼(偽鍼)群や無治療待機群に比べて、治療終了後の疼痛スコア(VASなど)や機能スコア(WOMACスコアなど)が改善したという報告があります。
メタ分析: 慢性疼痛(膝OAを含む)に対する個人データメタ解析でも、鍼治療が疼痛緩和効果を支持する結果が得られています。
メカニズム: 鍼の治効メカニズムとしては、内因性鎮痛系の賦活や局所の血流改善などが考えられています。
2. 関節機能・日常生活動作(ADL)の改善
疼痛軽減に伴い、膝関節の機能(WOMACスコア)や日常生活動作の改善も認められるとの報告があります。
鍼治療が、特に運動療法や電気刺激(TENSや電気鍼)との併用により、より高い鎮痛効果や筋力増加に繋がる可能性が示唆されている文献もあります。
3. 安全性
多くの研究において、鍼治療による重篤な有害事象はほとんど見られず、比較的安全な治療法であることも示されています(内出血などの軽微なものは除く)。
文献考察における留意点
エビデンスレベルの差: 海外では厳密な臨床デザインに基づく大規模な研究が多く報告され、鍼治療の有効性を支持するエビデンスが豊富ですが、国内では有効性を示す質の高い論文が比較的少ないという指摘があります。
日本の状況: 過去には、厚生労働省の調査研究で「臨床的有効性が客観的に乏しく不明」と評価された時期もありましたが、これは当時の国際的なエビデンス状況と異なるものでした。現在では、海外の研究成果が日本でも広く知られるようになっています。
偽鍼(シャム鍼)対照試験: 鍼治療の有効性を評価する上で、プラセボ効果を排除するために偽鍼を用いるシャム対照試験が行われますが、偽鍼であっても一定の効果が見られることがあり、真の鍼治療との効果の差をどう解釈するかは議論の余地があります。
標準治療との比較: 鍼治療を標準的な治療(薬物療法やリハビリテーションなど)に追加した場合の優位性や、鍼治療単独での効果についても研究が進められています。一部の試験では、標準治療と比べて鍼治療の方が効果が大きかったという結果も出ています。
結論として、変形性膝関節症に対する鍼灸治療は、特に疼痛管理の面で補完的な治療法として有用であるというエビデンスが多く存在します。しかし、鍼灸治療の評価を巡っては国内外で様々な見解があり、今後の更なる整形外科専門医との共同研究などによる質の高い臨床研究の推進が望まれています。
以上のように考えられますが、臨床的には十分な効果を感じることが多いです。
クゴリハ鍼灸院では鍼灸治療だけでなく運動療法も行えます。ご相談ください!
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