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肩関節周囲炎に対する鍼灸治療とエビデンス

  • クゴリハ鍼灸院
  • 3 日前
  • 読了時間: 3分

肩関節周囲炎(Frozen Shoulder, 癒着性関節包炎)に対する鍼灸治療は、疼痛の緩和可動域の改善に関して有効性を示す研究が蓄積しています。

しかし、研究デザインやサンプルサイズの違いなどから、エビデンスの質は「中~低」と評価されることが多く、さらなる質の高い臨床試験の必要性が指摘されています。


1. 鍼灸治療の主な効果とエビデンス


効果

内容

エビデンスの傾向

疼痛の軽減

鍼刺激により、鎮痛物質(内因性オピオイドなど)の分泌が促され、痛みの緩和が期待されます。運動時痛や夜間痛の軽減に効果を示した報告があります。

短期的な疼痛軽減に対して有効性を示す研究が多いです。プラセボ(偽治療)と比較しても優位性が見られる研究があります。

可動域の改善

局所の血流改善や筋緊張の緩和により、関節可動域の向上が期待されます。特に肩の屈曲可動域については改善効果を示す研究が多く見られます。

短期・中期的な可動域の改善、特に屈曲(腕を前に上げる動作)や外転(腕を横に上げる動作)において、有用性を示す報告があります。

機能の向上

疼痛や可動域の改善に伴い、日常生活動作(ADL)や肩の機能評価スコア(CMSなど)の向上が見られます。

早期の症状緩和や機能向上に役立つ可能性があります。運動療法との併用により、より良い結果が得られる可能性も示唆されています。

安全性

適切な方法で行われる場合、重篤な副作用のリスクは低いとされています。

安全性は比較的高いと評価されています。軽度の出血や皮下出血、電気刺激による不快感などが稀に報告される程度です。


2. 治療のアプローチ


鍼灸治療では、以下のようなアプローチがとられます。

  • 局所治療: 痛む部位や圧痛点(阿是穴)、肩関節周囲の経穴(建庾(LI15)、**肩髎(TB14)**など)に鍼をします。

  • 遠隔治療: 痛む部位から離れた手足の経穴を用いて、全身の調整を図りながら治療を行います。

  • 電気鍼(鍼通電療法): 鍼に微弱な電流を流すことで、鎮痛効果や筋弛緩効果を高める目的で行われることがあります。

  • 全身治療: 中医学的な診断に基づき、肩の局所だけでなく、体全体の不調を整える治療(自律神経の調整など)を並行して行うことが多いです。


3. 注意点と今後の見解


  • エビデンスの質: 複数のシステマティックレビューやメタアナリシスにおいて、鍼灸治療は短期的な疼痛や可動域の改善に有効である可能性が示されていますが、研究間の質のばらつきやバイアスのリスクから、**「さらに質の高い研究が必要」**という結論が一般的です。

  • 他療法との比較: 鍼灸治療が、理学療法(運動療法)や他の保存療法単独よりも優れているかについては、まだ明確な結論が出ていませんが、運動療法など他の保存療法と併用することで、より効果的である可能性が報告されています。

  • 早期治療: 症状発現後、比較的早期に治療を開始することで、より大きな効果が期待できる可能性があります。


まとめ

肩関節周囲炎に対する鍼灸治療は、痛みの軽減と関節の動かしやすさの改善において有用性が示されており、特に短期的な症状の緩和に役立つ可能性があります。安全性も比較的高いと評価されています。


当院では理学療法士による運動療法も併用できますのでご相談ください。

 
 
 

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